2020年08月08日
歩兵旅団戦闘団の編成
だいぶ前に101空挺の編成について書きましたが、少し歩兵部隊について掘り下げていこうかと思います。
今回は2014年以前の歩兵旅団戦闘団(IBCT)の細かい編成について、ネット上の情報と低レベル英語読解能力とグーグル先生を使って抜粋翻訳したフィールドマニュアルその他を基に考察していきます。機甲旅団(ABCT)及びストライカー旅団(SBCT)については当記事では触れません。
なお中身の正確さについては保証しません(重要)。また、あくまでも教本上の編成であり、部隊によっては実際の運用時と差がある場合があるので注意が必要です。
誤訳、間違いについては指摘してもらえるとありがたいです。
1、Brigade Combat Team 「旅団戦闘団」
Brigade Combat Team(BCT、旅団戦闘団)は、戦闘において歩兵・戦車・航空機などを組み合わせた諸兵科連合作戦を行う能力を付与し、最低限の後方支援部隊も加えて小規模の師団として、派遣時にわずかな部隊を追加するだけで師団以下の規模でも単独で行動できるよう編成されたアメリカ陸軍において最小の戦力単位である。旅団長には通常Colonel(COL、大佐)が任命される。
BCTはHMMWV(ハンヴィー)などで展開する機動歩兵を主力運用するInfantry Brigade Combat Team(IBCT、歩兵旅団戦闘団)、M1エイブラムス・M2ブラッドレー等の機甲戦力を含めた諸兵科連合部隊として運用するArmored Brigade Combat Team(ABCT、機甲旅団戦闘団)、ストライカー装輪戦闘車の運用を中心に設計されたStryker Brigade Combat Team(SBCT、ストライカー旅団戦闘団)に分けられる。
各師団はその師団の目的に応じてこれらのBCTを(年代によって異なるが)3~4個組み合わせ、師団によっては航空旅団などの部隊を加えた形で編成されている。在欧陸軍の第173空挺旅団や第2騎兵連隊(ストライカー旅団)のように師団下ではなく軍団下にBCT単体で編成される場合もある。
Division Artillery(DIV ARTY、師団砲兵)やSustainment Brigade(SUS Brig、支援旅団)はおおよそ2014年以降から師団下に加えられる。
2、Infantry Brigade Combat Team 「歩兵旅団戦闘団」
Infantry Brigade Combat Team(IBCT、歩兵旅団戦闘団)は、市街地や2種以上の地形または環境条件がある地域など複雑な地形において降車戦闘するのに最適化された編成であり、IBCTは陸路・空挺降下・空中強襲(ヘリボーン)・水陸両用作戦などの手段をもちいて作戦地域に投入される。
IBCTの主任務は強固に防衛されたエリアの縮小、敵地後方への浸透・占領作戦、制限(警戒)区域内での敵残党排除、主要施設及び施設での活動の安全確保、作戦行動後の地域安定化実施などがある。またIBCTはABCTやSBCTの任務を補完する役割があり、補完的任務には土地・人員・資源の管理などが含まれている。
IBCTは陣地防御や機動防衛の調整戦力として容易に設定することできる。これはIBCTは他のBCTと違い重装甲車両を持たないため、燃料など兵站上の制約が緩和されており移動や機動作戦時に様々な輸送方法をとることができ、上級司令官の指揮に柔軟性を与えることができるからである。
IBCTはLight Infantry(軽歩兵)、Airborne(空挺)、Air Assault(空中強襲、ヘリボーン)のタイプに分かれているがほぼ同様の編成であり、またIBCTが指定されているかどうかにかかわらずどのタイプも空中強襲作戦が可能である。旅団の部隊は展開時、通常HMMWV(ハンヴィー)などの非装甲車両・軽装甲車などを用いて移動することで機動歩兵として迅速に移動し戦闘を行うが、作戦の必要に応じ移動・空中強襲用の航空機やMRAP(地雷防護車)などを配備できる。
2014年以前の1個IBCTは旅団本部、歩兵大隊×2、騎兵大隊×1、砲兵大隊×1、旅団特別任務大隊×1、旅団支援大隊×1から成り立っている。
2014年以降の1個IBCTは旅団本部、歩兵大隊×3、騎兵大隊×1、砲兵大隊×1、旅団工兵大隊×1、旅団支援大隊×1に順次再編されている。

IBCT概略図。記号はADP 1-02に準じる。
・Headquarters and Headquarters Company(HHC、旅団司令部及び本部中隊)
旅団の運用、管理を司る組織。本部中隊自体はBSTBからのアタッチという形をとっている。旅団長(BCT commander)、及び副指揮官(Deputy Commanding Officer)それぞれが率いる2つの司令集団(Command groups)、main CP ・ TAC CP ・ BSB CPの3つの指揮所(command post、CP)の他、旅団の運用支援のための将校やスタッフが配置される。
師団本部に空軍指揮官や支援小隊が配置されるほか、各旅団本部に空軍ASOSの1個Flight(小隊)が割り当てられている。空軍の各ASOSは割り当てられた支援先の陸軍部隊に同じように人員配置がされていると考えられる。
・Infantry Battalion(INF、歩兵大隊)
IBCTの主力である機動部隊であり、BCTに2個歩兵大隊が配置される。
1個歩兵大隊は、大隊に対して部隊計画立案・情報・通信・医療・偵察などの支援を担うHHC(大隊司令部及び本部中隊)、戦力の基盤となるRifle Company(ライフル中隊)3個と、TOWやFGM-148ジャベリンなどの対戦車火器、M240・M2HMG・Mk19等を搭載した武装ハンヴィー等で行動するWepon Company(武器中隊)1個から成り立っており、実際の運用時にはBSBからFSC(前線支援中隊)が追加(アタッチ)され計6個中隊で活動する。
・Cavalry Squadron(CAV、騎兵大隊)
Reconnaissance, Surveillance, and Target Acquisition(RSTA、偵察・監視・目標補足)を目的とし、旅団の作戦支援の為に各種偵察任務や、場合によっては主力の援護を行う部隊。
Headquarters and Headquarters Troops(HHT、大隊司令部及び本部中隊)と、TOWやFGM-148ジャベリンなどの対戦車火器、120mm重迫撃砲、M2HMG・Mk19等を搭載した武装ハンヴィー等を装備するMounted Cavalry Troops(機動騎兵中隊)2個、装甲車・重火器は無いが無人偵察機(RQ-11レイヴン)や徒歩偵察小隊を有するDismounted Cavalry Troop(下車騎兵中隊)1個から成る。運用時にはBSBからFSCが追加される。
・Field Artillery Battalion / Fires Battalion(FAB/FIRES、野戦砲兵大隊)
旅団の部隊に対してM119 105mm榴弾砲、M198またはM777 155mm榴弾砲による火力支援を行うほか、目標補足のための小隊を有する。
基本的なIBCTの砲兵大隊は、AN/TPQ-36 WLRやAN/TPQ-50 WLRなどの対砲迫レーダーを装備した1個レーダー小隊を含むHeadquarters and Headquarters Battery(HHB、大隊司令部及び本部中隊)に加えて、年代や部隊により異なるがM119(×8門)を運用する105-mm Firing Batteries(105mm榴弾砲中隊)2個、またはM119(×6門)の105mm榴弾砲中隊2個(空挺は1個)とM198またはM777(×6門)を運用する155-mm Firing Batteries(155mm榴弾砲中隊)1個の2種混成の3~4個中隊からなる。運用時にはBSBからFSCが追加される。
教本によれば2010年以前は軽歩兵指定のIBCTは105mm×2個中隊、空挺・空中強襲指定のIBCTのうち必要であれば105mm1個を155mm1個に置き換えて編成されていたようであるが、現在は軽歩兵指定のIBCTにも(教本上は)155mm1個が追加されている。
・Brigade Special Troops Battalion(BSTB、旅団特別兵科大隊)
各部隊への作戦指揮や部隊管理、兵站などをBCTの内外から支援するための部隊。
BSTB自体のHHC、BCTのHHC、Military Intelligence Company(MI、軍事情報中隊)、Signal Network Support Company(通信ネットワーク支援中隊)、Engineer Company(工兵中隊、IBCTのみ)から編成される。
BSTBのHHCの中にはMilitary Police Platoon(MP、憲兵小隊)、CBRN Reconnaissance Platoon(CBRN偵察小隊)やUnmanned Aircraft System Platoon(無人機システム小隊)、Air Force Weather Team(空軍気象班)などの様々な部隊が組み込まれている他、BCTの必要に応じてExplosive Ordnance Disposal Company(EOD、爆発物処理中隊)や、CBRN Company(CBRN中隊)などの部隊を追加で編成できる。またBSTBのみBSBからのFSCアタッチが無いため、Medical Support Section(医療支援セクション)やMaintenance Section(整備セクション)などBSTBとBCTのHHCの兵站に関わる部隊を保有している。
・Brigade Support Battalion(BSB、旅団支援大隊)
補給物資の管理、弾薬輸送、前線での車両整備、兵士の治療・健康維持など旅団の活動を補給・医療・整備の点から支える大隊。
BSBはHHC、車両整備を担当するField Maintenance Company(野戦整備中隊)、Army Health System (AHS)に規定されているRole 2*の医療行為を行うBrigade Support Medical Company(旅団支援医療中隊)、水・燃料・補給物資の輸送・管理を行うDistribution Company(輸送中隊)に加え、BSTB以外の各大隊にアタッチさせ糧食支援、輸送、野戦整備を行うFoward Support Company(FSC、前線支援中隊)4個で編成される。(再編後はINF BNの増設とBSTBからBEBへの転換に合わせFSCが6個編成になっている)
以上が歩兵旅団戦闘団の編成です。FSCはBSBからのアタッチとはなっていますが、実際各大隊の顔本とか部隊のサイトなどでは「(アタッチ先)大隊の○中隊」という形で紹介されていることが多い気がします。
次回は歩兵大隊について書けたらな…と思っています。ABCT?SBCT?…よくわからないですね…。
*ざっくりとAHSの各Roleについて。
・Role1...気道確保・止血・骨折固定など衛生兵やPJ、医療資格(18D)を持つ特殊部隊員等が行う即時救命措置や、病気や戦闘外での傷害予防など最も現場(前線)に近いレベルでの医療行為。あくまで戦闘の支障を取り除くことが目的である。
・Role2...Role1で行われた救命措置の継続を含み、外傷管理や緊急手術、歯科医療などを行い血液製剤やX線、実験室などが使用可能になるなど野戦病棟レベルでの医療行為。Role1より高度な医療を提供できるが、病床数は多くない。
・Role3...患者は創傷手術の他、整形外科、泌尿生殖器、耳鼻咽頭科、脳神経外科などの特殊手術や術後治療を含む様々な医療行為を行う高度な設備とケアを行うスタッフを備えた施設で治療される。基本的に後方移送となるが、患者が長距離移動に耐えない場合は戦術的状況が許す限り現地に近い病院にて治療を受ける。
・Role4...アメリカ本土の基地病院や海外の有力な施設を手配。負傷者増大による戦地付近の病床圧迫回避が主な目的。
民間だと日本の医療計画における医療圏の話が近いんでしょうか。陸海空軍で差があったりするので、詳しくは個人で調べてみてください…。
参考文献
・ADP 1-02 TERMS AND MILITARY SYMBOLS (2018)
・FM 1-02 OPERATIONAL TERMS AND GRAPHICS (2004)
・FM 3-90.6 Brigade Combat Team (2010)
・FM 3-96(FM 3-90.6) BRIGADE COMBAT TEAM (2015)
・FM 4-90(FM 4-90.7) BRIGADE SUPPORT BATTALION (2010)
・FM 3-21.20(FM 7-20) THE INFANTRY BATTARION (2006)
・FM 3-21.12 The Infantry Weapons Company (2008)
・FM 3-09 Fire Support (2011)
・FM 3-09 FIELD ARTILLERY OPERATIONS AND FIRE SUPPORT (2014)
・ATP 3-09.23 (FM 3-09.21) Field Artillery Cannon Battalion (2015)
・ATP 3-20.96 Cavalry Squadron (2016)
・ATP 3-90.61 Brigade Special Troops Battalion (2015)
・ATP 4-90 Brigade Support Battalion (2014)
・Roles of Medical Care (United States) - Army.mil
・Army Health System Doctrine Smart Book (2019) - Army.mil
・「Role の役割と特徴」(佐々木座長作成資料) - 第2回 防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会 使用資料 - 防衛省(2015)
今回は2014年以前の歩兵旅団戦闘団(IBCT)の細かい編成について、ネット上の情報と低レベル英語読解能力とグーグル先生を使って抜粋翻訳したフィールドマニュアルその他を基に考察していきます。機甲旅団(ABCT)及びストライカー旅団(SBCT)については当記事では触れません。
なお中身の正確さについては保証しません(重要)。また、あくまでも教本上の編成であり、部隊によっては実際の運用時と差がある場合があるので注意が必要です。
誤訳、間違いについては指摘してもらえるとありがたいです。
1、Brigade Combat Team 「旅団戦闘団」
Brigade Combat Team(BCT、旅団戦闘団)は、戦闘において歩兵・戦車・航空機などを組み合わせた諸兵科連合作戦を行う能力を付与し、最低限の後方支援部隊も加えて小規模の師団として、派遣時にわずかな部隊を追加するだけで師団以下の規模でも単独で行動できるよう編成されたアメリカ陸軍において最小の戦力単位である。旅団長には通常Colonel(COL、大佐)が任命される。
BCTはHMMWV(ハンヴィー)などで展開する機動歩兵を主力運用するInfantry Brigade Combat Team(IBCT、歩兵旅団戦闘団)、M1エイブラムス・M2ブラッドレー等の機甲戦力を含めた諸兵科連合部隊として運用するArmored Brigade Combat Team(ABCT、機甲旅団戦闘団)、ストライカー装輪戦闘車の運用を中心に設計されたStryker Brigade Combat Team(SBCT、ストライカー旅団戦闘団)に分けられる。
各師団はその師団の目的に応じてこれらのBCTを(年代によって異なるが)3~4個組み合わせ、師団によっては航空旅団などの部隊を加えた形で編成されている。在欧陸軍の第173空挺旅団や第2騎兵連隊(ストライカー旅団)のように師団下ではなく軍団下にBCT単体で編成される場合もある。
Division Artillery(DIV ARTY、師団砲兵)やSustainment Brigade(SUS Brig、支援旅団)はおおよそ2014年以降から師団下に加えられる。
2、Infantry Brigade Combat Team 「歩兵旅団戦闘団」
Infantry Brigade Combat Team(IBCT、歩兵旅団戦闘団)は、市街地や2種以上の地形または環境条件がある地域など複雑な地形において降車戦闘するのに最適化された編成であり、IBCTは陸路・空挺降下・空中強襲(ヘリボーン)・水陸両用作戦などの手段をもちいて作戦地域に投入される。
IBCTの主任務は強固に防衛されたエリアの縮小、敵地後方への浸透・占領作戦、制限(警戒)区域内での敵残党排除、主要施設及び施設での活動の安全確保、作戦行動後の地域安定化実施などがある。またIBCTはABCTやSBCTの任務を補完する役割があり、補完的任務には土地・人員・資源の管理などが含まれている。
IBCTは陣地防御や機動防衛の調整戦力として容易に設定することできる。これはIBCTは他のBCTと違い重装甲車両を持たないため、燃料など兵站上の制約が緩和されており移動や機動作戦時に様々な輸送方法をとることができ、上級司令官の指揮に柔軟性を与えることができるからである。
IBCTはLight Infantry(軽歩兵)、Airborne(空挺)、Air Assault(空中強襲、ヘリボーン)のタイプに分かれているがほぼ同様の編成であり、またIBCTが指定されているかどうかにかかわらずどのタイプも空中強襲作戦が可能である。旅団の部隊は展開時、通常HMMWV(ハンヴィー)などの非装甲車両・軽装甲車などを用いて移動することで機動歩兵として迅速に移動し戦闘を行うが、作戦の必要に応じ移動・空中強襲用の航空機やMRAP(地雷防護車)などを配備できる。
2014年以前の1個IBCTは旅団本部、歩兵大隊×2、騎兵大隊×1、砲兵大隊×1、旅団特別任務大隊×1、旅団支援大隊×1から成り立っている。
2014年以降の1個IBCTは旅団本部、歩兵大隊×3、騎兵大隊×1、砲兵大隊×1、旅団工兵大隊×1、旅団支援大隊×1に順次再編されている。

IBCT概略図。記号はADP 1-02に準じる。
・Headquarters and Headquarters Company(HHC、旅団司令部及び本部中隊)
旅団の運用、管理を司る組織。本部中隊自体はBSTBからのアタッチという形をとっている。旅団長(BCT commander)、及び副指揮官(Deputy Commanding Officer)それぞれが率いる2つの司令集団(Command groups)、main CP ・ TAC CP ・ BSB CPの3つの指揮所(command post、CP)の他、旅団の運用支援のための将校やスタッフが配置される。
師団本部に空軍指揮官や支援小隊が配置されるほか、各旅団本部に空軍ASOSの1個Flight(小隊)が割り当てられている。空軍の各ASOSは割り当てられた支援先の陸軍部隊に同じように人員配置がされていると考えられる。
・Infantry Battalion(INF、歩兵大隊)
IBCTの主力である機動部隊であり、BCTに2個歩兵大隊が配置される。
1個歩兵大隊は、大隊に対して部隊計画立案・情報・通信・医療・偵察などの支援を担うHHC(大隊司令部及び本部中隊)、戦力の基盤となるRifle Company(ライフル中隊)3個と、TOWやFGM-148ジャベリンなどの対戦車火器、M240・M2HMG・Mk19等を搭載した武装ハンヴィー等で行動するWepon Company(武器中隊)1個から成り立っており、実際の運用時にはBSBからFSC(前線支援中隊)が追加(アタッチ)され計6個中隊で活動する。
・Cavalry Squadron(CAV、騎兵大隊)
Reconnaissance, Surveillance, and Target Acquisition(RSTA、偵察・監視・目標補足)を目的とし、旅団の作戦支援の為に各種偵察任務や、場合によっては主力の援護を行う部隊。
Headquarters and Headquarters Troops(HHT、大隊司令部及び本部中隊)と、TOWやFGM-148ジャベリンなどの対戦車火器、120mm重迫撃砲、M2HMG・Mk19等を搭載した武装ハンヴィー等を装備するMounted Cavalry Troops(機動騎兵中隊)2個、装甲車・重火器は無いが無人偵察機(RQ-11レイヴン)や徒歩偵察小隊を有するDismounted Cavalry Troop(下車騎兵中隊)1個から成る。運用時にはBSBからFSCが追加される。
・Field Artillery Battalion / Fires Battalion(FAB/FIRES、野戦砲兵大隊)
旅団の部隊に対してM119 105mm榴弾砲、M198またはM777 155mm榴弾砲による火力支援を行うほか、目標補足のための小隊を有する。
基本的なIBCTの砲兵大隊は、AN/TPQ-36 WLRやAN/TPQ-50 WLRなどの対砲迫レーダーを装備した1個レーダー小隊を含むHeadquarters and Headquarters Battery(HHB、大隊司令部及び本部中隊)に加えて、年代や部隊により異なるがM119(×8門)を運用する105-mm Firing Batteries(105mm榴弾砲中隊)2個、またはM119(×6門)の105mm榴弾砲中隊2個(空挺は1個)とM198またはM777(×6門)を運用する155-mm Firing Batteries(155mm榴弾砲中隊)1個の2種混成の3~4個中隊からなる。運用時にはBSBからFSCが追加される。
教本によれば2010年以前は軽歩兵指定のIBCTは105mm×2個中隊、空挺・空中強襲指定のIBCTのうち必要であれば105mm1個を155mm1個に置き換えて編成されていたようであるが、現在は軽歩兵指定のIBCTにも(教本上は)155mm1個が追加されている。
・Brigade Special Troops Battalion(BSTB、旅団特別兵科大隊)
各部隊への作戦指揮や部隊管理、兵站などをBCTの内外から支援するための部隊。
BSTB自体のHHC、BCTのHHC、Military Intelligence Company(MI、軍事情報中隊)、Signal Network Support Company(通信ネットワーク支援中隊)、Engineer Company(工兵中隊、IBCTのみ)から編成される。
BSTBのHHCの中にはMilitary Police Platoon(MP、憲兵小隊)、CBRN Reconnaissance Platoon(CBRN偵察小隊)やUnmanned Aircraft System Platoon(無人機システム小隊)、Air Force Weather Team(空軍気象班)などの様々な部隊が組み込まれている他、BCTの必要に応じてExplosive Ordnance Disposal Company(EOD、爆発物処理中隊)や、CBRN Company(CBRN中隊)などの部隊を追加で編成できる。またBSTBのみBSBからのFSCアタッチが無いため、Medical Support Section(医療支援セクション)やMaintenance Section(整備セクション)などBSTBとBCTのHHCの兵站に関わる部隊を保有している。
・Brigade Support Battalion(BSB、旅団支援大隊)
補給物資の管理、弾薬輸送、前線での車両整備、兵士の治療・健康維持など旅団の活動を補給・医療・整備の点から支える大隊。
BSBはHHC、車両整備を担当するField Maintenance Company(野戦整備中隊)、Army Health System (AHS)に規定されているRole 2*の医療行為を行うBrigade Support Medical Company(旅団支援医療中隊)、水・燃料・補給物資の輸送・管理を行うDistribution Company(輸送中隊)に加え、BSTB以外の各大隊にアタッチさせ糧食支援、輸送、野戦整備を行うFoward Support Company(FSC、前線支援中隊)4個で編成される。(再編後はINF BNの増設とBSTBからBEBへの転換に合わせFSCが6個編成になっている)
以上が歩兵旅団戦闘団の編成です。FSCはBSBからのアタッチとはなっていますが、実際各大隊の顔本とか部隊のサイトなどでは「(アタッチ先)大隊の○中隊」という形で紹介されていることが多い気がします。
次回は歩兵大隊について書けたらな…と思っています。ABCT?SBCT?…よくわからないですね…。
*ざっくりとAHSの各Roleについて。
・Role1...気道確保・止血・骨折固定など衛生兵やPJ、医療資格(18D)を持つ特殊部隊員等が行う即時救命措置や、病気や戦闘外での傷害予防など最も現場(前線)に近いレベルでの医療行為。あくまで戦闘の支障を取り除くことが目的である。
・Role2...Role1で行われた救命措置の継続を含み、外傷管理や緊急手術、歯科医療などを行い血液製剤やX線、実験室などが使用可能になるなど野戦病棟レベルでの医療行為。Role1より高度な医療を提供できるが、病床数は多くない。
・Role3...患者は創傷手術の他、整形外科、泌尿生殖器、耳鼻咽頭科、脳神経外科などの特殊手術や術後治療を含む様々な医療行為を行う高度な設備とケアを行うスタッフを備えた施設で治療される。基本的に後方移送となるが、患者が長距離移動に耐えない場合は戦術的状況が許す限り現地に近い病院にて治療を受ける。
・Role4...アメリカ本土の基地病院や海外の有力な施設を手配。負傷者増大による戦地付近の病床圧迫回避が主な目的。
民間だと日本の医療計画における医療圏の話が近いんでしょうか。陸海空軍で差があったりするので、詳しくは個人で調べてみてください…。
参考文献
・ADP 1-02 TERMS AND MILITARY SYMBOLS (2018)
・FM 1-02 OPERATIONAL TERMS AND GRAPHICS (2004)
・FM 3-90.6 Brigade Combat Team (2010)
・FM 3-96(FM 3-90.6) BRIGADE COMBAT TEAM (2015)
・FM 4-90(FM 4-90.7) BRIGADE SUPPORT BATTALION (2010)
・FM 3-21.20(FM 7-20) THE INFANTRY BATTARION (2006)
・FM 3-21.12 The Infantry Weapons Company (2008)
・FM 3-09 Fire Support (2011)
・FM 3-09 FIELD ARTILLERY OPERATIONS AND FIRE SUPPORT (2014)
・ATP 3-09.23 (FM 3-09.21) Field Artillery Cannon Battalion (2015)
・ATP 3-20.96 Cavalry Squadron (2016)
・ATP 3-90.61 Brigade Special Troops Battalion (2015)
・ATP 4-90 Brigade Support Battalion (2014)
・Roles of Medical Care (United States) - Army.mil
・Army Health System Doctrine Smart Book (2019) - Army.mil
・「Role の役割と特徴」(佐々木座長作成資料) - 第2回 防衛省・自衛隊の第一線救護における適確な救命に関する検討会 使用資料 - 防衛省(2015)
Posted by ルキポン at 17:24│Comments(0)
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